尚絅学院大学

人間学専攻

自己を究め 他者と繋がり 社会と関わる 深く 鋭く 斬新に 人間の共生原理を求めて思索の旅へ

「悲しくて泣く」場合、涙が出てくるメカ二ズムを解明するのは理系や医学系、人生の中の悲しみを論じるのが人文系、以前ならこのような棲み分けができたかもしれませんが、現在は違います。宇宙物理学、分子生物学、脳科学、認知科学、バイオテクノロジー、再生医療、データサイエンス、生成AIなどが人文系の領域にどんどん迫ってきています。では、今現在、人文系固有の領域はどこに求められるのでしょうか?

哲学者ヘーゲル(Georg Wilhelm Friedrich Hegel,1770-1831)の『法哲学』には「ミネルヴァのフクロウは黄昏に飛び立つ」という一句があります。ミネルヴァ(Minerva)とは古代ローマ神話の女神でフクロウと一緒に描かれることがあり、現代では知恵・学問の象徴とされています。へーゲルは若き日にフランス革命に歓喜し乱舞したと伝わっていますが、フランス革命のその後の迷走やなれの果てを目の当たりにした経験が彼の哲学を特徴づけています。哲学は早朝、皆を目覚めさせ先導するというよりは、夕暮れまでその日をじっくり丁寧に見届けた上で始動するというのです。深く考え、問題の根本を鋭くえぐり出し、ありきたりの意見に追従しないことで、むしろ斬新な提言が可能となること、これが思想家の役割だという意味です。

人間学専攻では様々な思想を辿り、じっくり思索しながら、これまでにない思考力を身につけて自己・他者・社会を問い直すことを目標としています。

教育課程の概要と特色

人間の共生を座標軸にしたカリキュラムポリシー

人間学専攻のカリキュラムは、「特論科目」「演習科目」「研究指導科目」の3科目区分で構成されています。いずれも人間の共生を座標軸にして、その諸課題について、その成立背景の歴史的・文化的・社会的要因から分析していきます。

広範な学問分野に基づいた高度な素養の修得

人間の共生に関わる諸問題は、細分化された単一の学問分野で対応することが困難になっています。人間学専攻は、宗教学、聖書学、哲学、倫理学、人間形成学、さらには社会学、経済学、法学など多くの隣接する学問分野から人間の共生に関わる諸課題を学際的に研究します。

研究能力を高める特別研究

特別研究では、研究倫理の修得、研究課題・研究計画の設定、先行研究の文献・資料の収集、研究ノートの作成を経て、修士論文作成にいたる具体的な研究活動を行います。日常的な研究指導のもと、これら一連の活動によって高度な研究能力を身につけます。