尚絅学院大学

臨床心理相談室(ティクヴァ)からのお知らせ

11月 ティクバ便り

2022/11/22

こんにちは、来てくださってありがとうございます!

相談スタッフの渡部です。

 

今回は、感情についてのお話をしたいと思います。

嬉しい、楽しい・・・そんな気持ちばかりで毎日過ごせればいいのですが、実際はそうもいかないことが多いですよね。

悲しい、腹が立つ、恥ずかしい、がっかりする、など、ネガティブな気持ちを味わうこともたくさんあると思います。そんな時、こんな気持ちなんか無くなればいいのに!などと思うことはありませんか?感情なんて、無ければいいのに、と。

 

でも、ちょっと待ってください。感情というものが私たちにわざわざ存在するのには、何らかの理由があるのではないでしょうか。

 

少し考えてみましょう。たとえば、罪悪感。罪悪感は、自分が何か好ましくない行動をしてしまった時に生じる感情です。苦しい気持ちになりますね。しかし、だからこそ、自分がやってしまった行動に対して、どうにかしなければ、と償いをしようという気持ちになります。実は、前向きな行動を促してくれる力を持つのです。


また、後悔はどうでしょうか。後悔は、「過去の何かが違っていたら、今はきっとこうなっているだろうに」という、現状を否定するような考え方です。こちらもなかなか苦痛ですね。今ある現実ではない可能性を見つめている、ということなので、後悔をすることは、あまり建設的ではない行為と一般に考えられています。しかし、心理学においては、後悔も意義があると考えます。後悔は、ただの現実否定ではなく、「では、どうすればよかったのか」についてのシミュレーションなのです。頭の中で何度も考えることで、次に同じような状況になった時に、新しい対応ができるようになるのです。ただし、後悔を有意義なものにするには、その対象を、自分で変えられるものにすることが大事です。会社でのプレゼンテーションに失敗した場合であれば、「自分に才能が無かったから」ではなく、「プレゼンテーションの準備に取り掛かるのが遅かった、計画的に進める必要があった」と考えてみることですね。

 

このように、意外かもしれませんが、ネガティブな感情の中には、私たちを守ってくれるものが存在しています。あまり怖がらず、ぜひ役立てようとしてみてください。