尚絅学院大学

国際交流エッセイ リレーエッセイ

【国際交流リレーエッセイ 第22回】大学生訪韓団に参加して

2019/11/25

リレーエッセイ22回目は、現代社会学科3年中里有希さんです。中里さんは日本と韓国の大学生相互派遣プログラム「大学生訪韓団」日本代表に選ばれ、韓国を訪問しました。

大学生訪韓団に参加して

8月27日~9月6日の11日間、「大学生訪韓団」という日本政府と韓国外交部による大学生の相互派遣プログラムで韓国を訪問しました。
このプログラムは外務省の推進する「対日理解促進プログラム JENESYS2019」の一環として実施されました。日本全国から選抜された約30名の大学生が、現地での文化体験や韓国の大学生との交流などを通じて隣国の韓国について学び、相互理解を深めることができました。

11日間の日程の中で行ったことをいくつか紹介します。

歓迎昼食会の様子

歓迎昼食会の様子

非武装地帯(DMZ)
非武装地帯とは、南北軍事境界線から南北にそれぞれ幅2キロメートル、合計4キロメートル幅の地帯のことで、軍事訓練は原則禁止です。ソウルからはバスで1時間程度でした。とても張り詰めた空気で、非武装地帯に入るときは、軍の検問も受けました。しかし、ここに住んでいる人たちもいます。その人たちは、税金が免除されたり、軍隊に行かなくてよかったりと政府から支援されているそうです。

展望台からは川のすぐ向こうの北朝鮮を見ることができました。望遠鏡だと、北朝鮮の建物や人も見えました。自然が広がっており、のどかな場所でした。しかし、緊張感もあって人が簡単に近づけない場所だと感じました。
都羅山(ドラサン)駅にも行きました。都羅山駅からは平壌(ピョンヤン)まで線路が続いています。将来、南北統一されてこの駅が使えるようになったら、ヨーロッパまで電車で行けるそうです。また、ここには南北統一を目指し、東西統一を果たしたドイツのベルリンの壁の一部がありました。

昔と今では、韓国と北朝鮮の関係も変わってはいます。しかし、実際には統一は今のところ難しいのではないかと思い、韓国の国民は統一についてどう思っているのか気になりました。  

DMZ訪問

DMZ訪問

大学生訪日団参加者とフィールドワーク、討論、発表
私たち日本の大学生訪韓団と同様に、韓国の大学生訪日団が選抜されており、現地で交流を行いました。訪日団と訪韓団混合のグループで分かれ、フィールドワーク、討論、発表を行いました。

フィールドワークは、訪日団のメンバーが私たちのために事前に韓国の魅力を発信する計画を立てていてくれました。私のグループは、仁寺洞(インサドン)に行きました。仁寺洞は、民俗工芸品が売られていたり、伝統茶カフェがあったりします。京都のように、伝統的な建物と現代の建物が共存しており、伝統的な景観を保つ工夫がされています。そこで私たちは伝統茶カフェに行ったり、ショッピングをしたり、韓国版プリクラの「インセンネッコ」で記念撮影をしたりしました。

討論は「新しい時代、新しいコミュニケーション」というテーマで行われました。日韓関係が悪化している中で問題点は何か、その解決策は何かについて討論しました。問題点として、「日韓間で直接会って話す機会が少ない」、「互いの国の歴史を深く知らない」などが挙げられました。解決策は、「メディアを過度に信じすぎず、客観的に理解する」、「コミュニケーションの場の活性化」などが挙げられました。

韓国の大学生訪日団との交流は、意味深く、楽しく学べる時間でした。同世代の韓国人から伝統文化やポップカルチャーを教えてもらい、韓国の文化により興味を持つようになりました。また、討論・発表は、悪化している日韓関係についてどう思っているのか、どうするべきかなどそれぞれの考えを聞くことができ、自分の考えや視野を広げる良い機会となりました。討論の結果を今後につなげていきたいです。  

韓国の大学生訪日団との交流

韓国の大学生訪日団との交流

日韓交流おまつりin Seoul
日韓交流おまつりとは、ソウルと東京で毎年開催されている、最大規模の日韓交流行事です。2005年から行われ、今年で15回目でした。私は、昨年もソウルで開催されたおまつりに参加していました。日本に興味・関心がある多くの韓国の若者が参加しており、自治体や企業、伝統文化など様々なブースが多く出展されて大変盛り上がっていた印象がありました。今年は、ただ参加するのではなく、自分たちがブースの運営をするということで、訪韓前から楽しみにしていました。

しかし、運営に携わっている在大韓民国日本国大使館公報文化院で事前説明をしていただいた際に、例年よりも企業や自治体のブースは少なくなり、毎年フィナーレで行っていた「よさこいアリラン」が今年は中止だと聞きました。政府レベルの問題で日韓関係が悪化していることが、民間が楽しむイベントにも影響を与えているのだと思いました。

ブースでは、訪韓団メンバーで「お守り作り」と「とんとん相撲」を行いました。悪い状況の中でも予想以上に多くの方が来てくれました。特に若い世代の韓国人、日本人の親子が来場し、1日を通して多くの参加者と交流することができました。

日韓関係が悪化しており、両政府は対話をほとんどしていない状況ですが、民間レベルでは交流をしてコミュニケーションを取ることができます。日韓関係が悪化している中でも、交流イベントを持続的に行うことが大切だと強く感じました。このような交流の機会が今後増えてほしいと思います。  

日韓交流おまつり

日韓交流おまつり

ホームステイ
ホームステイは釜山(プサン)と金海(キメ)で2泊3日行いました。韓国で初めてのホームステイで緊張していましたが、ホストファミリーはとても優しく、温かく受け入れてくれました。そして、私たちを博物館やレールパーク、ワイン洞窟など色々な場所に連れて行ってくれました。また、ホームステイを経験することで、韓国の一般の人たちの暮らしがどういうものかを少しは知ることができました。2泊3日でしたが、ホストファミリーと一緒に過ごした時間はあっという間で、とても短く感じられました。ホストファミリーは韓国語しか話せなかったので、これまで勉強してきた韓国語でコミュニケーションを取ることができ、とても良い思い出になりました。


大学生訪韓団は費用がかからないというのに惹かれて応募しました。自分が選ばれるとは思っていなかったですが、このプログラムに選んでいただいたおかげで、多くの出会いがあり、様々な経験をして、忘れられない思い出ができました。また、普通の旅行ではできないことを経験させてもらい、隣国である韓国の歴史や文化、政治などについて知らないことばかりだと痛感しました。
今後は、もっともっと韓国に興味を持って学び続けていきたいと思います。  
 

現代社会学科3年 中里 有希

ホストファミリーと一緒に

ホストファミリーと一緒に