尚絅学院大学

ボランティアチームTASKI10年のTASKIリレー展

私たちがつなげる・つづける・つたえる

なげる つたえる つづける

ボランティアチーム
TASKIとは?About

「T」共に・「A」歩む・「S・K」尚絅・「I」愛(自ら)の意味をこめた活動は東日本大震災を契機にスタートしました。震災から時間が経つにつれて、被災地の状況は大きく変化しています。近年では、仮設住宅から復興公営住宅等などへ移住することによる、新たなコミュニティづくりが課題となっています。仮設住宅の寄り添い活動を続けてきた「TASKI」は、新しい住民コミュニケーションの輪をつくるきっかけ作りをお手伝いしています。

災害復興支援 はじめの一歩

斎 美紀さん(人間心理学科 2013年卒)

当時は、「何かしなければいけない!」という漠然とした思いから始めたボランティア活動でしたが、活動を行っていくなかで様々な気付きや学びを得ることができました。特に印象に残っている出来事は、仮設住宅で住民の方から頂戴した「一方的に物事をすすめないでほしい」という言葉です。当時、仮設住宅には毎日のように様々な団体が出入りし活動を行っていました。お茶会や交流会など、仮設の集会所のスケジュールは常にイベントで埋まっていました。その最中、住民の方からそのお言葉を聞き、初めて一方的に物事をすすめていること、仮設の中にもそれぞれのコミュニティがあるということに気付きました。相手の話を聞き、相手の立場になって物事を考えること。そんな当たり前のことを忘れていました。それからは、まず住民の方にお話を聞いて、意見をすり合わせながら、イベントだけでなく日常生活のなかで困っていることを手伝うなど、住民の方々の間に入って活動を行うようになりました。これは、信頼関係を築いていくうえでも重要な気付きであり、学びともなりました。この経験が軸となり、今でも日常生活や変化していく活動状況のなかで生かされていると感じています。

渋谷 佳代さん(表現文化学科 2016年度卒)

大学生活にも慣れてきた2年生の春。すでにTASKIで活動している友人の話を聞いて「私もやってみようかな」と、なんとなく始めたTASKIでのボランティア。当時の主な活動は、仮設住宅でのお茶会や自治会のお祭り、カラオケ大会や音楽祭など、どれも住民さんへの「寄り添い」を大切にした活動でした。また、仮設住宅から復興公営住宅へ住まいが変わり始めた時期でもあり、新しい環境への不安を取り除き、住民さんのやりがいや生きがいに繋がる、きっかけづくりのお手伝いもさせていただきました。

そしてもう1つ力を入れたことがあります。それは「伝える活動」です。活動に参加したメンバーの感想や、新たに発見した課題を載せたボラステ新聞の発行、地元だからこそ見える現地の姿を、様々な場所で発表させていただきました。仙台防災未来フォーラム2016では「仮設住宅に足を運んでいたけれど、今は全然行けていなくて。今日話を聞けてよかったよ。」など、たくさんの声をいただき、「TASKIだからできたこと。やってよかった!」と仲間と一緒に涙を流したことを覚えています。

約3年間の活動で、自分にもできることがあると知り、思い切ってやることの大切さや、挑戦することの楽しさに気づきました。自分自身を大きく成長させる経験だったと感じています。3.11から10年。時間の経過とともに薄れていく震災に対する意識。地元名取市の大学だからこそ、今の姿を伝え続けてほしいと思います。

伊藤 ちひろさん(人間心理学科 2018年度卒)

「地元へ恩返しがしたい」そんな思いで私は被災地でのボランティアを始めました。

TASKIでの活動を始めた2016年は仮設住宅でのお茶会等のイベントなど、現地で住民さんと直接対面しての活動が多くありましたが、被災地の状況の変化に合わせて活動が変化してきました。2018年には、大学での学習会や被災地を巡るバスツアー、シンポジウムなどでの活動発表の機会を多く頂きました。次第に「この震災を風化させてはならない」「教訓として次世代に受け継ぎたい」そんな思いがこみ上げてきました。そこで被災地の復興状況やボランティアの役割を踏まえた震災の学び直しを行い、活動内容も被災地の住民さん達の新たな生活を応援するかたちになっていきました。

以前から交流のあった県内外の学生との合同学習会に積極的に参加し、「学生としてできる支援とは何か」「復興とは何か」意見交換を行いました。私は特に神戸の学生との交流に力を入れており、阪神淡路大震災を経験した神戸の学生はどんな活動をしているのかを学び、現地での改善点を宮城での災害ボランティアで活かし活動ができないかと考えていました。神戸の学生を招待するだけではなく、自ら神戸に何度も足を運び、震災の経験がどのようにして伝承されているのかを学びました。この4年間の経験は私自身の糧になりました。

震災から10年、TASKIには寄り添いの活動はもちろん今後も被災地での学びを外部へ発信し、次世代へタスキを繋げていただきたいと思います。

名取市長 
山田 司郎 様

未曾有の大震災から10年という節目の年を、復興を達成して迎えることができました。

尚絅学院大学として、また、その学生の皆様には、震災当初から、今日まで組織的、継続的に、様々な場所で、多様な被災者支援に携わっていただきました。

お陰様で、名取市は、2019年閖上地区まちびらき、2020年には復興達成宣言をすることができました。また、それぞれの地区で、新たな住民の地域コミュニティが形成されています。

ここに、これまでのご支援に対し、名取市民を代表して、改めまして御礼申し上げますと共に心より感謝いたします。

学生の皆様には、被災者支援に対し率先して行動を起こし、多くの住民と接してきた経験の中で、人の話に耳を傾け、多様な考えを認め合う習慣と複雑な社会を生き抜いていく知恵を身に着けてくださったものと思います。

終わりに、名取市内唯一の高等教育機関である貴学のご発展と学生の皆様のご活躍を心からお祈り申し上げます。

令和3年3月

名取市長 山田 司郎

閖上中央町内会長 
長沼 俊幸 様

名取市内の仮設住宅において自治会の運営に携わる。当時より本学のボランティア活動の受入や、閖上バスツアーの案内等で講話をいただいている。現在は閖上中央町内会長として新たなコミュニティ形成に尽力。

尚絅学院大学の皆さんとは、仮設生活の時からお世話になりました。仮設生活をしていた当時は、イベント時の会場設営から片付けまで若い学生達の力に大変助けてもらいました。高齢の住民さんは、孫のような学生達との交流やふれ合いでどれだけ助けられ元気付けられたことでしょう。お祭りなどでは、住民と一緒に盛り上げてもらい大盛況のお祭りが出来ました。本当に嬉しく思います。

仮設生活が終わり閖上での新しい生活が始まり、ボランティアさんや支援者さんが少なくなり、コミュニティ作りが難しくなってきている中、尚絅の皆さんとは今も交流が続き、色々とお手伝いをしてもらい新しいコミュニティが広がってきています。本当に感謝しています。

住民さんの心の復興は、仮設生活の時よりもむしろこれからが大切だと感じているので、これからも閖上の住民さんをよろしくお願いします。

大学コンソーシアムひょうご神戸

2011年より夏に名取市内の仮設住宅や復興公営住宅等で合同活動や学習会を実施。「神戸訪問プログラム」では兵庫県において阪神・淡路大震災について共に学ぶなど、通年で交流事業を展開。

大学コンソーシアムひょうご神戸
学生交流委員会 委員長代理
神戸親和女子大学 地域連携センター長
教授 大島 剛

大学コンソーシアムひょうご神戸は、兵庫県にある会員38校の大学連携組織です。2011年東日本大震災の夏より毎年ボランティアバスを仕立てて宮城県に訪れています。もう発災から10年になっても、ずっとつながってきたことにひとしおの感慨があります。最初は誰しも東北に馳せ参ずる思いで動き、尚絅学院大学の導きで私たちも愛島東部仮設住宅にお邪魔して、熱い心だけはお伝えしてきました。

ただ時が経ち、災害ボランティアの数は減っていく中、でも私たちはここまで続けてきました…、それは阪神・淡路大震災があったからです。当時お世話になった恩返しでしょうか。まだ震災時に生まれていなかった学生からすれば、それも違うようです。当初「夏休み学生ボランティア事業」といっていたものが、「学生災害ボランティア・ネットワーク事業」に名称を変更し、尚絅学院大学の学生と共に学びと交流を深める企画が充実してきました。交流が深化し、学生たちがもっと災害を、復興を、被災された方々の日常生活を理解するものに発展してきました。時の変化の中、続けることでボランティアに対しても新しいものが生み出されているようです。

TASKIが大切にしている3つの「つ」:「つなげる」「つたえる」「つづける」があります。実はいつの頃か私たちの学生がモットーとしてこの3つの「つ」を使うようになりました。真似をさせていただいたのだろうと思い、新しく入る学生にはTASKIがオリジナルだよとお話ししていました。しかし、よくよく考えるとTASKIは「つなげる」、私たちは「つながる」なのです。TASKIがつなげようとしていたところに私たちがつながったのです。そして後の2つの「つ」は一緒です。被災された方々、被災地に対する思いは同じと考えていいと思います。

震災の被災地同士がつながり合うこと、震災を経験していない学生でもできるということ、これを私は勝手に被災地仲間と呼んでいます。これから尚絅学院大学でも東日本大震災の時に生まれていない学生が入ってくる時が来ます。その時でも被災地仲間の関係が続いていけると嬉しいなと感じます。残念ながら今年度はコロナ禍という災害で今までのような活動ができなかったことは歯がゆい思いをしております。それでも大変お世話になったこと、ご一緒できたこと本当に感謝しております。これからもよろしくお願いします。

大学コンソーシアムひょうご神戸
2019年度学生災害ボランティア・ネットワーク事業
学生スタッフリーダー
中野 亜耶(2020年3月 甲南大学卒業)
忘れない〜東日本大地震から10年、私たちにできること〜

震災から6年後の2017年、学生ボランティアとして初めて宮城を訪れました。道には多数の工事車両、やっと建ち始めた公営住宅。「まだこんな状況なの?」当時抱いた思いです。

仮設住宅で住民さんから様々なお話を伺いました。津波のこと、避難所生活のこと、辛かったこと、それでも生きてきたこと。強く、逞しい姿に感銘を受けました。6年経っても復興途上だったことも、震災当時のことも皆さんの想いも、現地に行って初めて知りました。

この出来事はいつか風化する。ある方が仰っていました。絶対に忘れまい。そう思ったことを覚えています。神戸の学生として、感じたことを多くの人に伝え、私自身も被災地との繋がりを絶やしたくないと思いました。

震災から10年。もし、あの時宮城を訪れていなければ、私は震災のことを忘れていたかもしれません。しかし、今こうして想いを巡らせることができるのは、宮城を訪れ、感じた想いが心の中に生きているからです。忘れないこと、想い続けること、そして語り継ぐことこそが復興支援の第一歩であり、大きな力になることを信じています。最後になりましたが、私たちをサポートし、ともに活動してくださいましたTASKIの皆さん、あの時出逢えた宮城の皆さん、本当に感謝しています。宮城と神戸の絆がこれからも続きますように。

敬愛大学(千葉県)

2011年より夏に名取市内の仮設住宅での合同活動や、学習会を実施。西南学院大学(福岡)との3大学合同学習会も行った。

敬愛大学地域連携センター室長
藤森 孝幸
「つなげる、つたえる、つづける」を「つなげる、つたえる、つづける」

尚絅学院大学がこの10年間にわたり繋いできた襷を、ここ千葉で受け継ぐご縁を受けました。本学では2011年9月から毎年わずか1回、たった2泊3日ですが、貴学とのご縁に導かれ、閖上地区での活動のお手伝いや県内沿岸のスタディツアーを続けております。

この10年の本学の最大の学びは、貴学が「つなげる、つたえる、つづける」と一貫して発してこられたメッセージです。このメッセージをここ千葉の地で拡げたい、そう心がけてまいりました。この間に閖上のまちで「見たこと」、お会いしてきた住民や語り部の皆様、貴学の学生・教職員の皆様と言葉を交わしながら「聞いたこと」、そして自分の中で「感じたこと」を大切にしてきました。またそれらを自分の大切な人に「伝えること」も、本学の学生たちに伝え続けてきました。

本学では貴学のTASKIのように、年間を通じた復興支援活動や震災ボランティア活動を行っているわけではありませんが、私たちは貴学の活動からの学びを、「つたえ、つなげ、つづけ」ていかねばなりません。10年は区切りではありません。貴学から受けたこの襷を、「支縁者」としてここ千葉の地でこれからも繋いでまいります。

西南学院大学(福岡県)

東日本大震災の被災地各地での支援や、熊本地震・九州北部豪雨災害等の支援を実施。これまでの合同学習会では西日本の災害支援についても共に学び合った。

西南学院大学では、この10年、641名の学生教職員が東北で活動しました。尚絅学院大学の皆さんとの出会いは、東北学院大学の大学間連携災害ボランティアネットワーク夏ボラや復興支援インターンの活動で、学生や教職員が交流したことに始まります。教員による共同研究を機に2014年度から毎年、西南独自の東日本大震災ボランティアで尚絅学院の皆さんと交流しています。大学コンソーシアムひょうご神戸や敬愛大学の皆さんとの交流にも展開しました。

TASKIの皆さんが、この10年、名取の方々に寄り添いながら、活動を「つづけ」、先輩から後輩にTASKIを「つなぎ」、私たちに「つたえ」つづけてこられたことで、遠く九州にいる私たちも現状を知り、多くの気づきや学び、視点や刺激をたくさん受けて帰福します。交流で出会い、東北から福岡まで個人的な旅行で西南の学生と交流し、一緒に活動したり、西南の学生が尚絅学院の皆さんのプログラムに参加したり、その後のつながりが紡がれる関係性となっていること、心から感謝しています。

これからも、お互い、東北と九州それぞれから、活動を「つづけ」「つなげ」「つたえ」、この素敵な「つながり」を「つむいで」いきたいと願っています。

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