人間心理学科 お知らせ

スウェーデンに行ってきました [人間心理 池田]

2017/04/07

 2017年3月21日から10日間、スウェーデンのストックホルム市およびモータラ市の福祉・教育の実践を視察してきました。スウェーデンの視察は、昨年度に続き2回目となります。期間中、多くの施設を視察する機会を頂きましたが、その中でも印象的であったモータラ市のニーシルカ小学校について、今回はご報告したいと思います。

 モータラ市は、ストックホルム市の南西に車で3時間ほどの場所に位置する、東スウェーデンの湖畔の町です。人口は4万人ほどですが、大きな規模のサイクリングレース(Vätternrundan)が開催されるなど、町全体に勢いを感じます。今回お世話になったのは、モータラ市街地から車で20分ほどのNykyrka(ニーシルカ)に位置するニーシルカ小学校です。小学校が位置するこの地域は人口が400人程度の小さな町ですが、90名の在校生が在籍しています。この地域は移民や難民がそれほど多くはなく、住民の内外への移動があまり多くはない、昔ながらのスウェーデンの雰囲気を今も残しています。


 我々は、2017年3月23日(木)14時から、メルベルグ校長先生(Helena Mellberg)と学校関係者の案内を受けました。また、モータラ市のゲルゲオス市長(Elias Georges)、教育マネジャー、他、市の関係者が視察に帯同されました。

 はじめに、ベルギーからの交換留学生の模擬授業を見学しました(4年生から6年生の35名の複式学級)。授業の内容は、ベルギーの文化に関するものであり、全てが英語を使って進められました。これは、ニーシルカ小学校が力を入れる「国際交流」を象徴する内容であったと思います。

 その後、生徒3名が事前に準備してきた「アウトドア授業の効果」に関するプレゼンテーションを拝聴しました。続いて、生徒2名からの英語を使った質問を頂きました(日本で人気のスポーツや、日本とスウェーデンの文化的な違いに関する質問など)。生徒たちの英語コミュニケーション能力には目を見張るものがあります(彼らの母国語はスウェーデン語です)。このことは、下記の通りですが、ニーシルカ小学校が力を入れる“国際交流”の成果なのだと考えます。視察風景は、モータラ市のサイトでも紹介されています(https://www.motala.se/nyheter/japanskt-besok-nykyrka-skola/)。


 模擬授業の後、関係者一同で情報交換を行いました。中でも印象的であったのが、ニーシルカ小学校が最も力を注いでいる分野である“国際交流”です。モータラ市が掲げる目標として、生徒の成績を上げることに加え、国際協力にも力を入れることの2点があります。こうした政策的な背景を受けて、ニーシルカ小学校では2015年から複数の国際関係プロジェクトを実施しているそうです(教員の国際研修・海外インターンシップの受け入れ・ITを利用した英語を話す環境づくり、など)。

 学校が国際関係に力を入れる理由としては、当然ですが“言語”があるそうです(英語を自然に使うチャンスが増える)。また、生徒が他国の文化的知識を獲得することや、地理学的な知識を得ることにもつながるだけでなく、教員にとっても他国の教育方法を学ぶ機会を得ることが出来るそうです。また、こうした教育的な交流は、文化的な多様性を学ぶ上で、良いモチベーションを提供できるとのことでした(例えば、先ほど紹介したベルギーの交換留学生は、ホームステイをしながら研修を行っており、ステイ先の子どもにも良い経験となっているそうです)。

 また、もう一つ気になったキーワードに、“インクルージョン”があります。インクルージョンとは、ダイバーシティに変わるキーワードとして近年注目されているそうです(ダイバーシティが組織内に多様な人材がいる状態を表すのに対して、包括・包含・一体性などの語意をもつインクルージョンは、そうした多様な人々が対等に関わりあいながら一体化している状態を指す用語として区別される;「インクルージョン」とは? - 『日本の人事部』HPより)。

 ニーシルカ小学校周辺の地域は、マンション地域がないため、移民がほとんどいません。しかし、特に移民制限をしているわけではないそうです(他にも似たような状況の集落はあるとのことでした)。こうした状況で、基本的価値観(忍耐・価値観・尊敬)の教育を行うためには、インクルージョン教育が重要となると学ぶことができました。

モータラ市庁舎近くの湖畔

モータラ市庁舎近くの湖畔

 帰国前日の28日には、モータラ市のゲルゲオス市長のお招きで、市庁舎を訪問させていただきました。市長とホルムベルグ開発部長(Jan Holmberg)から市の歴史やブランディング政策について概要を説明していただきました。何より驚いたのは、そこで市長本人から、モータラ市の親善大使に任ぜられたことです(もちろん私だけではなく、視察に参加していた参加者全員が任命されました)。


 市庁舎にお招きを受けるだけでも光栄なことでしたが、名誉ある役に任じていただいたことを常に心に留め、少しでもモータラ市と大学の良い関係を構築できるように、頑張っていきたいと思います。
 
 冒頭でも記載しましたが、この視察研修では、他にも多くの施設を訪問させていただきました。それについては別の機会で報告させていただきたいと思います。

文責: 人間心理学科 准教授 池田和浩


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