尚絅学院大学

人間心理学科 お知らせ

『私の専門について』 [人間心理 川端]

2016/11/01

【専門領域】
 私の専門は,犯罪心理学,そして臨床心理学です。人間がどうして不適応になるのか,そこからどうやったら適応へと向かうことができるのか,ということに関心を持っています。

【研究の方法】
 また,それらを研究する方法としては,実際に困っている・不適応状態にある方を援助していくという臨床実践と,調査や実験といった手法を用いた実験的研究の両方から,こうした問題に取り組んでいきたいと思っています。

【攻撃行動への援助】
 こう述べただけでは,あまりピンときてもらえないと思うので,以下,不適応行動の一つである攻撃行動を例にとって,具体的に説明してみたいと思います。乱暴な行動が問題になっている人に対する援助を行う際に,その対象になっている方と面接し,必要があれば心理テストを実施するなどし,その方はどういう人なのか,どうして粗暴な行動をとってしまうのかということを深く理解し,同じ目線に立って援助していくことは,心理療法の基本です。その一方で,質問紙や実験による研究を通じて,人間が攻撃行動をとるときはどのような心的メカニズムが働くのかを研究することで,先に述べたような相談者の方を援助する際,どういう点を調べればよいのか,どういう働きかけをすればその方の問題を改善できるのかについて,理論的な裏付けを得ることができます。
 人間の攻撃行動は,自分が脅されたとか侮辱されたと感じたり,相手に脅威を感じたりした際(それが本当に脅されるなどしている場合と,当人がそう感じているだけの場合の,両方の場合があります)に,相手に反撃する形で攻撃行動を行う反応的攻撃と,何らかの目的を達成するために意図的に攻撃行動を用いる能動的攻撃に分類することができるとされています。これら二種類の攻撃について,様々な実験や調査などから,反応的攻撃の問題を抱えている人,つまり,すぐにかっとなって暴力的な行動をとる人などは,一般に,相手が自分に悪意・敵意を持っていると勘違いしやすい(これを専門用語では,敵意バイアスといいます)ことが分かっています。また,能動的攻撃の問題を抱えている人,つまり,知人を脅して自分の言うとおりにさせようとしやすい人は,そうした脅しを用いることが正しいことだと考えやすいという判断や価値観の問題を抱えていることが多いということが分かっています。
 以上のようなことを踏まえれば,粗暴な行動をとりやすいという問題を抱えた人の援助をする際に,その方の粗暴な行動は,反応的攻撃なのか能動的攻撃なのかということを見極めていくことが,援助をする際に大切になることが分かっていただけるかと思います。反応的攻撃であるならば,例えば,その方が実際の生活の中で経験した出来事を材料に,他者の行動の意図(例えば,他人がぶつかってきたとき,それはわざとなのか,偶然なのかなど)の自分の捉え方の歪みに,ご本人自身が気づく(洞察する)ことができるように働きかけていくことが有効でしょう。あるいは,能動的攻撃であれば,ある場面でのその方の行動(例えば,嫌いな人の悪いうわさを流す)が周囲からどう評価されるか,といったことを話し合いの中で理解してもらうとともに,演技をしながら学ぶロールプレイなどで,そうした攻撃的なやり方とは異なる行動パターン(例えば,表面は普通に対応しつつ,深くかかわらないようにするとか,やんわりとしたいい方で,相手に気になっている点を指摘するなど)を学習してもらうことが有効でしょう。

文責: 人間心理 准教授 川端壮康

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