環境構想学科 お知らせ

カヤネズミの北限記録 【環境構想学科】

2016/12/13

学内で行っているノネズミ捕獲調査でカヤネズミを記録しました!

野ネズミ調査

 ゆりが丘キャンパスは山を切り開いたところに作ったので、周辺は里山と呼ばれるようなコナラを中心とした落葉樹二次林です。カモシカやツキノワグマ、キツネ、タヌキ、アナグマ、ノウサギなど、たくさんの動物が生息しており、種類によっては直接見かけることもあります。大きな動物がいるということは小さな動物もいるのです。大きな動物は、センサー付きカメラで撮影し調査したり食痕や足跡などの形跡調査をしていますが、めったに目にすることの無い小さな動物(ネズミ、ヒミズ、モグラ類)は捕獲調査をしています。
 捕獲調査を行っている地点は森林と草地の2カ所です。草地の方は、地域を開発した際に切り取ったところ(土壌のない石ゴロゴロの荒れ地)で、水はけが悪く、苔が生え、ススキが繁茂し、最近はネムノキがはえ始めているような所です。これまで、ジネズミやアカネズミ、ヒメネズミが記録されていました。毎月1回の調査を行っているのですが、2016年11月下旬の調査で、正体不明の小さな小さなネズミを捕獲しました。

親指の先ぐらいしかないんです

親指の先ぐらいしかないんです

なんだろう???

 体重が5g。こんな小さな種はいません。新種かな~?などと話しながら調べたところカヤネズミのようなのですが、それでも小さすぎるのです。巣立ったばかりの子ども?などと考えましたが、そもそもカヤネズミの本物をまだ見たことがなく自信が持てません。そこで、畠佐代子(全国カヤネズミ・ネットワーク)さんに、捕獲の様子をお話しし写真を見ていただきました。すぐに「カヤネズミの亜成獣」と同定していただきました(亜成獣とは、幼獣と成獣の間、性的に成熟していない段階をいいます)。

尾が長いのも特徴

尾が長いのも特徴

カヤネズミ

 カヤネズミ(学名:Micromys minutus)は、頭胴長(鼻先から尾の付け根まで)約6cm、尾長(尾の長さ)約7cm、体重7~8グラムの日本で一番小さなネズミです。背中はオレンジ色、腹部は真っ白でとても愛らしい姿をしています。
 主に休耕田や河川敷、草原に生息し、そこに生えているススキ、オギ、チガヤなどイネ科の葉を利用して、直径10cmくらいの球形の巣を作ります。巣に使われる葉は生きており、周りの植物と同じ色をしているため、上手にカモフラージュされています。彼らはこの巣で出産・子育てをし、また休息場所として利用しています。草地でオヒシバやエノコログサ、バッタやイナゴを食べて暮らす、おとなしい生き物です。(引用:全国カヤネズミ・ネットワーク




 

正面顔

正面顔

カヤネズミの現状

 最近では、河川敷や空き地などの草地が減少し、田畑のあぜ道や休耕田もきれいに刈り取ってしまうため、カヤネズミの生息地が減ってきています。大学の敷地内でも、夏休み前後で草刈りをするのですが、カヤネズミの繁殖期と重なってしまいます。ノネズミ調査をし始めたころは、調査地点も草刈りをしていたのですが、ここ数年しないようにしていました。そのせいかどうかはわかりませんが、記録の無かったカヤネズミが捕獲されたのです。

ノギスの上で

ノギスの上で

最北の記録

 畠さんのお話しでは、生息地の北限は宮城県の川崎町2008年(全国カヤネズミ・ネットワーク調べ)とのこと。川崎町での記録地点と尚絅学院大学はほぼ同レベルの緯度なので北限での生息地確認記録が複数になりました。
 実は、2015年10月にも同じ場所でカヤネズミの捕獲記録があるのですが、1年を通して記録が1匹だったため保留していたのです。今年の調査では合計3匹も捕獲したために、これはちゃんと生息しているのだろうと同定をお願いし判明した次第です。畠さん、ありがとうございました。
 ちいさなちいさなカヤネズミのいる場所。タヌキやアナグマ、キツネ、イノシシ、カモシカなどのいる森。学内には、大きいのも小さいのもいろいろな生きものがくらしています。里山の手入れをし草刈りのタイミングに注意しながら、お互いの距離感を大事にして様々な動物たちと共存できるようにしなければいけません。

(環境構想学科 鳥羽 妙)

※2016年12月14日時点では、「亘理町が北限記録で、今回の確認で北限記録更新」と記載していましたが、鳥羽の間違いで川崎町が北限記録でした。尚絅学院大学と川崎町での生息確認地点はほぼ同レベルの緯度なので、「北限の新たな生息地点の確認」と訂正させていただきます。

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