尚絅学院大学

環境構想学科 お知らせ

【シリーズ】環境構想学科教員エッセイ「グリーントーク」第4回 久慈るみ子

2016/07/27

専門分野は大きく括ると衣服学分野です。「環境問題と衣服」はどのような関係があると思いますか?

子どもの頃の風景

エラ・オ-・パトリックホーム

エラ・オ-・パトリックホーム

 小さい頃、父方の祖父母の家に遊びに行くと8月末には胴体が赤や水色のトンボが飛びかい、生け垣の赤や緑の実を食べることができました。母方の実家に遊びに行くと朝顔の弦をからませたゲートが私たちを迎えてくれました。そして先週末、搭乗時間を待つ間、大阪伊丹空港で久々に夕焼けを見ました。自然を構成する色は美しい。このゆりが丘はそうした自然の色に彩られています。出来ることならば、校舎の外壁が自然をより感じられるレンガや木造ならば、なお良かったのにと思ってしまう自分がいます。そういう時は、いや私たちにはエラ・オー・パトリックホームがあるではないか、と思ったりするのです。

ニュースの中の風景

COOL CHOICE 賛同登録をしています

COOL CHOICE 賛同登録をしています

 さて、昨今すっかり定着した「クールビズ」。ニュースの中の首相をはじめ多くの官僚や街をゆくビジネスマンの衿元はいわゆるノーネクタイ。2005年6月の京都議定書の折、環境省が発行した冷房のためのエネルギー節約、CO2排出抑制を目的とした衣服の軽装化キャンペーンの成果です。夏季に事務所衛生基準規則における室温上限である28℃に設定された冷房においても対応できる軽装、つまりスーツやネクタイといった、いわゆる形式的な服装をやめることをビジネス場面で認め合いましょうという運動です。だから”Cool”と”Business”の短縮形 “BIZ”をあわせた造語です。この運動は海外にも波及し、中国、イギリス、イタリア、スペインでも試行され各国に大きな影響を及ぼしました。

風土と衣服

 ところで、多くの国には、いわゆる民族服といわれるものがあります。民族服はその地域で手に入れることができる素材を布にし、その風土に合った型式に作られています。日本人の生活に1940年代まで定着していた民族服は前開き型の「きもの」でした。つまり衿元が開いている型式です。現代社会では体形型の「洋服」に変わり、ビジネスマンは衿元をネクタイで閉じてしまっていました。クールビズによりネクタイを外した状態は、より日本の風土に合った着装となったわけです。同時に、ネクタイをした服装に合わせた室温コントロールはエネルギーの無駄を生じさせ、CO2排出を促進させてしまっていたのです。  様々な色に彩られた自然環境が織りなす、その地域の風土に合った生活を取り戻すことは、人が環境と共生することにつながり、彩りをいっそう鮮やかで穏やかにするのではないかと思うのです。