尚絅学院大学

臨床心理相談室(ティクヴァ)からのお知らせ

6月 ティクバ便り

2022/06/07

臨床心理相談室のスタッフが、リレー形式でエッセイをお届けします!

異文化ストレス―私たちの日常にも―!?

皆さん、こんにちは。相談員の一條です。

6月に入り、就職や進学で新しい環境を迎えた方もそろそろその環境に慣れてきた頃でしょうか。

 

私は、外国出身の方のメンタルヘルスや異文化ストレスについて研究を行っています。
異文化ストレスの研究を行っていると、異文化ストレスの大小はあっても、外国出身者に限ったことではないなと思うことがあります。異文化ストレスとは、二つ以上の文化が接するときに生じるストレスのこと。国内であっても就職や進学、転校、結婚などで新たな文化に出会うことがあります。
なかなか新しい環境に慣れないなと思うとき、異文化ストレスに関する知識が役立つことがあるかもしれません。


異文化ストレスは、大別すると5つに分けられます。
1つ目は、離郷ストレスです。離郷ストレスは、母国を離れていることによって生じるストレスです。家族や親しい友人に直接会えないといったことが含まれますので、国内でも遠方に引っ越したときなど同様のことが生じます。
2つ目は、言葉が通じないことによる言語ストレスです。これは外国出身者特有と思われるかもしれませんが、方言がわからない、言葉の使い方が異なるといったことは国内でも起こります。
3つ目は、文化・価値観ストレスです。これは、文化や価値観の違いから生じるストレスで、個人間でも生じることは十分にあります。特に一緒に仕事をしなければいけない人だったり、距離が近い人との間にズレが生じていると辛いと感じることが多いかもしれません。
4つ目は、社会的立場や社会保障の不安定さから生じる社会環境ストレスです。雇用形態が変わったり、役職が変わる、あるいは転校などでクラスでの立ち位置が変わるなどして、立場が不安定になることがあります。
5つ目は、気候など物理的環境の違いから生じる自然環境ストレスです。寒い地域から暑い地域に移り住んだり(その逆も)、元の地域では手軽に手に入った農産物が手には入らなくなったりといった自然環境に起因して生じるストレスです。

このようにこれらの異文化ストレスは外国出身者にかぎったことではありません。就職や転勤、転校などで新しい環境に入ったとき、異文化ストレスの視点で捉えてみるとうまく心の整理がつくことがあるかもしれません。