尚絅学院大学

人間心理学科 お知らせ

豊かな自然の中で心理学を学ぼう [人間心理 三好]

2018/01/18

 昨年度の11月 17、18日の土曜日、日曜日を利用して本大学の尚絅幼稚園の園庭や里山の森で財団日本シェアリングネイチャー協会主催のネイチャーゲームリーダー養成講座を開催しました。ネイチャーゲームリーダーとは、ネイチャーゲーム活動を通して、身近な人たちに自然を案内し、伝える人になる。そのために、いくつかの自然の気づきの講義とアクティビィティを体験しました。今回は人間心理学科の大学1年生~4年生と、心理学専攻の大学院生総勢15名の学生が参加してくれました。

 イリノイ大学の研究者、Ming Kuo氏の研究結果によると、自然には私たちの人間の免疫システムを強化してくれる働きがあるとそうだ。野外での活動は「ストレスと闘うモード」を休め「休めモード」に切り替えてくれ、結果的に心や身体の健康を助長してくれるそうである。また、自然環境が人にもたらす影響は、新鮮な空気を吸ったり、鳥のさえずりを聞いたりすることだけではありません。自然を目で見るだけでも違う。サイエンス誌で1984年に発表された研究によれば、窓から森が見える部屋に入院していた患者と、自然が全く見えない患者とでは、術後の回復と苦痛の程度が異なっている。自然を目にできる病室患者の方がより回復し、苦悩や苦痛を感じることも少なかったそうである。自然からの学びは人間を解放し、安心感や自分を挑戦できる絶好の場であると思っている。尚絅の森には自然豊かでそこから心理学のエッセンスを学べることも可能と思っている。

 今回尚絅幼稚園の園庭や里山の森で自然の中で感じるアクティビィティを10ぐらい実施しました。1日目では、動物交差点というアクティビィティをしました。背中に生き物のカード写真入りを背中に貼りました。2人ペアになり、質問を1つずつ交互にしながら、背中の生きものが何かイメージを持ちながら探っていきました。質問をいろいろな人としながら、自分の生きものについてイメージをいだきながら知るおもしろさと、私たちの生き物は食う、食われる植物連鎖の世界を自然の中で体験していきました。このイメージして本質を見抜く力は、カウンセリングでセラピストがクライエントの悩みのアセスメントをしながら、その悩みの本質を見抜き、見立てを作ることに似ていると思いました。

 「フィルドビンゴ」のアクティビィティでは、16個の自然の中で発見することが1つずつ記載されている。黄色い花、顔に見える木、水の音、鳥の声、生きもの、キノコの足跡等、2~3人組になってチームでそれぞれの自然の探しものを共通理解しながら発見していきました。キノコなどは、よく見ないと発見できないし、意外なところにあったりしました。自然の中でわくわくしながら探す楽しさを感じていました。カウンセリングの場でセラピストがいろいろな情報を聞きだし、悩みの本質を探る筋道に似ていました。


 2日目のアクティビティで「私の木」をしました。2人組になって一人が相手に感じて欲しい木をプレゼントしました。相手からプレゼントされた1本の木を目隠しして、木に触ったり、におったり、太さをしらべたりして、たくさんの木から最初のスタ-トに戻り、相手からプレゼントされた自分の木を探しました。目隠ししているので自分の木がどの木であるか五感(触れる、匂う等)を使っていきました。カウンセリングでセラピストが自分の直感やイメージをふるにつかってクライエントを理解する姿と似ていると思いました。他のアクティビティも学生は五感を使って楽しんで取り組めました。


 現在、ストレスホルモンとも呼ばれる脳内分泌物質、コレチゾールの量に注目した研究がある。コレチゾールは過度なストレスを受けると増加し、うつ病患者などでは高値を示している。雑誌 Landascape and Urban Planninngにて発表された研究によれば、多くの緑や自然に囲まれ生活していると、都市部で生活するよりもコレチゾールレベルが低くなることが確認されている。ただし、この研究からは、コレチゾールレベルの低下が自然だけの影響とは言い切れない。自然に囲まれて生活している人は、都市部の人よりも散歩などの適度な運動をする傾向があるため、「自然+適度な運動」の結果と言えるようだ。


 こういった研究は海外だけでなく、日本の研究でも明らかになっている。2014年発表の日本の研究では、森林の中を歩いた被験者はコレチゾールのレベルが下がっただけでなく、血圧、心拍数、ストレスに対する過剰な神経反応が低下したという結果が報告されている。また、参加した被験者の半数以上の免疫力が増加し、神経の一部がリラックスしていることも確認されている。自然を使った心理学は絶好の学べる感性を育て、自然を感じる人間の母性を育ててくれる場にもなってくる。
 


 自然の中にはたくさんの美しいものがあり、人の心を楽しませたり喜ばせたりしてくれる(幸福度が増す)。木々や緑や川の流れや風の音、太陽の光や木漏れ日など、人の心を癒してくれる自然もある。心理学を自然といった観点から見ると多くの関連性や学びがいっぱいある。マインドフルネスの瞑想や動作法でのからだの軸を意識して自分で作っていき、大地で踏み締めていくことは、重力に対して軸づくりをしながら身体の緊張を弛め、リラックスした状態で自分のタテ軸を作ることが新たな自分の気づきや自分にさらなる挑戦や意欲につながる。このことを自然の中で五感を養い感性を育てていけば、これらのことも自然と無理なくでき、自己実現の成長につながると考えている。これから尚絅学院大学の学生が自然や生物のへの好奇心をもって自然とふれあうことで、自然の力を自分の幸せに活かせる(より創造性)となると考えている。尚絅学院大学生にはぜひ自然豊かな尚絅の森で自然の感性の力を身につけストレス社会の中で楽しんで生きていく素地になって欲しい。これからも尚絅の森で自然と心理学の道を探求し、学生に参加を呼びかけ、自分がさらに豊かに育っていける自然案内人を育てていきたい。

文責:人間心理学科 教授 三好敏之

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