尚絅学院大学

人間心理学科 お知らせ

大学院修士課程「人間学専攻」 について [人間心理 目黒]

2017/03/01

 2017年4月、大学院修士課程「人間学専攻」が新たに開設されることになりました。時折、人間学専攻は「何をするところですか」という素朴な質問が寄せられますので、人間学専攻について分かりやすくご紹介します。
 
 大学院は、学部教育を基盤としてさらに高度な教育と研究を行う場ですが、人材養成として大きく四つに分けられます。「研究者の養成」「高度専門職業人の養成」「大学教員の養成」、そして「高度で知的な素養のある人材の養成」です。
 
 本学の大学院にはすでに心理学専攻と健康栄養科学専攻が設置されています。この二つの専攻とも高度な専門的知識・能力を持つ「高度専門職業人」の養成を目指しています。
 
 新たに開設される人間学専攻は、特定の学問分野や特定の専門職業に携わる人材を養成するというよりはむしろ、知識基盤社会において重要な役割を果たし、この知識基盤社会を多様に支える「高度で知的な素養のある人材」の養成を目指しています。この「高度で知的な素養がある」ということについて、今日の知識基盤社会とグローバル社会という面から考えてみましょう。
 
 今日は、知識基盤社会であると言われます。知識基盤社会とは、新しい知識(そしてその知識に基づいた技術や情報)が文化や社会のあらゆる領域で活動する際の基盤となること、そしてそれらがますます重要になってくることを言い表しています。
 新たな知識・技術・情報を不断に身に付けていくことが求められてきますが、その根底にはそれらの知識・技術・情報に還元することができない、つまり知識・技術・情報だけでは解消しがたい「人間としての在り様」(人間存在)の問題が絶えず潜在化しています。
 確かに、知識・技術・情報は人間の生活にとって役立つものですし、人間の生活に様々な恩恵をもたらし、人間の生活を豊かにしてくれるものでしょう。しかし、知識・技術・情報そのものは、人間として何が大切なことなのか、人間として何が大事なことなのか、人間としてどのように意味づけしたらよいのかまでは説明してくれません。
 人間が様々な人と関わり、自然と関わり、文化と関わり、社会と関わりながら生活する際には、知識・技術・情報だけでなく、様々な思い、感情、意志、意欲、信仰、信念、情熱、価値観など様々な精神作用がかかわってきます。そのような関わりにおいて、人間としてどのような関わりを実現していくのか、「人間としての在り様」が問われてきます。
 
 また今日は、グローバル社会であるとも言われます。 グローバル社会とは、様々な文化(例えば、政治、経済、学問、科学、宗教、倫理、情報、通信、さらには食にいたるまで)が相互に依存するとともに、同時に、相互に対立している状況、そしてこれらの相互依存と相互対立が地球規模で急速に進んでいる状況を言い表しています。
 このようなグローバル社会においては、個々人のレベルにおいても、文化という大きなレベルにおいても、「人間の共生」に関わる様々な問題がますます顕著に現われてきます。歴史を振り返ってみれば、それは人間の共生を巡る変遷とも捉えることができます。
 人間が一定の文化や社会の中に生まれ、そこで生活することによって、人間は常にこの一定の文化的、社会的な制約を負っています。どれほどグローバル化されても、人間はこれらの制約性から逃れることはできません。ものの見方、考え方、価値観、生活の仕方、生き方は、個々人でも相違がありますが、さらに異文化間ではさらに大きな相違になります。それらがことごとく相違するのであれば、共生することは困難になります。それにも関わらず、グローバル社会では共生せざるを得ないのです。その際、文化的社会的な背景を異にする他者に、人間としてどのように向かい合い、どのように自他関係を構築していくのか、「人間の共生」が問われてきます。
 
 以上のような「人間としての在り様」と「人間の共生」に関わる諸問題は、相互に関連してきますが、今日の知識基盤社会やグローバル社会においては細分化された単一の学問分野で対応することが困難になっています。
 人間学専攻は、「人間としての在り様」と「人間の共生」に関わる諸課題について、多くの隣接する学問分野から、宗教学、聖書学、哲学、倫理学、さらには社会学、教育学、経済学等の隣接学問から、そして人間の文化性・社会性・歴史性、そして宗教性・倫理性、さらには創造性・協働性という視点から、総合的に学際的に研究します。
 その際、それらを個別に学修するのではなく、絶えず「人間としての在り様」と「人間の共生」を座標軸にして相互に関連させ学修すること(学修課題を複数の科目等を通して体系的に履修することをコースワークと呼びます)が人間学専攻の特徴です。
 人間学専攻は、このような教育研究によって、「人間としての在り様」と「人間の共生」に関わる諸課題へ柔軟に対応できる「高度で知的な素養」を修得し、共生社会の構築に貢献できる人材を養成することを目指しています。
 
 人間学専攻が「何をするところか」、少しは理解していただけたでしょうか。人間学専攻に興味を持たれた方、より詳しく知りたい方は、気兼ねなく人間心理学科の教員あるいは入試広報課にお訪ねください。
 
http://www.shokei.jp/faculty/university/human_psychology/professor.php
http://www.shokei.jp/request/
 
文責: 人間心理学科教授 目黒恒夫 専門:教育哲学・教育史

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